MITREは先週、ATT&CKフレームワークのバージョン20を公開しました。AIの悪用、多要素認証(MFA)の回避、水道事業者に対する最近の攻撃に関する項目が追加されています。
MITREによると、ATT&CK v20の最大の変更点は「最近の攻撃者の活動と手口(トレードクラフト)に関するカバー範囲の拡大」です。
Enterpriseドメインでは、テクニックとサブテクニックを合わせて9件が追加されました。プロンプトインジェクションは2つのテクニックに分けて追跡されます。1つはLLMのインターフェースに悪意ある指示を直接入力する手法、もう1つはモデルが取り込む素材に指示を隠す手法です。
別のテクニックは、攻撃者が組織自身のAIエージェントを利用してデータを盗み出す手口を扱います。サブテクニックとしては、AI検索やアシスタントの推奨結果を操作するためにWebコンテンツを汚染する手口や、LLMを使ったマルウェア分析を妨害する手口も加わりました。
このほか、アプリケーション固有パスワードの窃取を扱う新しいテクニックもあります。攻撃者はこのパスワードを使えば、MFAの確認を経ずにサインインできます。CAPTCHAの回避を扱うテクニックも追加され、サブテクニックとして自動解読と回避を設けています。
侵害されたソフトウェア依存関係や開発ツールに関するサブテクニックは、IDEやコーディングエージェントの設定ファイルも対象に含めるようになりました。MITREは、これらの追加によって「攻撃者が多要素認証、ボット対策、AIシステムをどのように回避するか」を把握しやすくなると説明しています。
ICSでは、新たなキャンペーンとして、ミネソタ州の30以上の水道・下水道事業者でインターネットに公開されたPLCが攻撃された事例が追加されました。この攻撃で、オペレーターは自社のシステムにアクセスできなくなりました。より広範な攻撃の波はイラン関連の活動に似ているとの報道もありますが、MITREはミネソタ州での侵入の攻撃者特定は「未確認のまま」だと指摘しています。
もう1つのキャンペーンは、AIが支援したメキシコ政府機関への侵入を記録したものです。この侵入はITとOTの両方にまたがり、自治体の水道事業者にまで達しました。
ICSには、Command and Scripting Interpreterテクニックも加わりました。6種類のインタープリタごとのサブテクニックを備えており、非推奨となったCommand-Line InterfaceテクニックとScriptingテクニックに置き換わります。さらに、DNSやパブリッシュ/サブスクライブプロトコルに隠したコマンド&コントロール通信を扱うサブテクニックも2件追加されました。
脅威アクターでは、航空宇宙・防衛・通信分野の組織を狙うIRGC(イラン革命防衛隊)関連のスパイ集団Nimbus Manticoreと、そのツールが追加されました。中国の支援を受けるSalt Typhoonの項目には、ネットワークエッジデバイスの悪用が反映されました。北朝鮮のAPT38の項目も更新され、金銭窃取からソフトウェアサプライチェーン攻撃への移行を示しています。
ランサムウェア・アズ・ア・サービス(RaaS)を運営するThe Gentlemenも新たに加わりました。
防御側向けには、15件の新しい検知戦略が加わりました。内訳はEnterprise向け6件、ICS向け9件で、38件のアナリティクスが裏付けています。新しいICSアナリティクスは、通常のエンジニアリング作業やメンテナンス作業を無視するよう設計されています。
Mobileでは、公式ストア以外から悪意あるアプリを配布するテクニックが復活しました。このテクニックが収録されたのはv11が最後です。あわせて、スマートフォンのNFCを介して決済カードのデータを中継するマルウェアNGateも追加されました。攻撃者はこれを使ってATMから現金を引き出せます。
翻訳元: https://www.securityweek.com/mitre-attck-v20-catalogs-ai-abuse-mfa-bypass-water-utility-attacks/