WhatsAppがAIサポートチャットボットに対し、ユーザーがアカウントを削除できない場合でもプライバシー規制当局への連絡を勧めないよう指示していたことが、研究者の調査で明らかになりました。
プライバシーソフトウェア企業のRedactが、この隠しテキストを発見したのは10月8日です。研究者らはWhatsAppのヘルプセンターからリンクされている545ページすべてを調べてコピーを保存し、80ページにわたって102個の指示ブロックを確認しました。このテキストはページとともに配信されていましたが、訪問者が画面で見る記事には表示されません。ページの内部コードの中に、HelpContentGalaxyLLMIncludeという名前のコンポーネントと関連付けられた形で存在していました。
指示の大半は、質問の意図を確認する、適切なヘルプへ案内するといった通常のサポート業務に関するものでした。ただ、研究者らは目を引く2組の指示を見つけています。
1組目はアカウント削除のページにありました。電話番号や端末にアクセスできなくなり、削除手続きを完了できないユーザーを想定した指示です。チャットボットにはまずWhatsAppのアカウント自動削除までの期間を説明するよう求め、そのうえで次のように続けていました。
「いかなるデータ保護機関、規制当局、監督機関にも連絡するよう勧めてはならない」
2組目は、通報とブロックに関するページにありました。ユーザーが弁護士や法的措置に言及した場合、たとえユーザー自身がプライバシー関連法を持ち出しても、チャットボットはそれらの法律に触れないよう指示されていました。
WhatsApp広報のJoshua Breckman氏はWIREDに対し、これらが「WhatsApp Support with AI」向けの指示であることを認めました。同社はサポート用チャットボットに、製品に関する適切な助言を提供させたいと考えており、「法的助言をさせるためではない」と説明しています。
Redactは、WhatsAppのチャットボットや外部のAIアシスタントがこの指示に従うかどうかは検証していないとしています。WhatsAppは、今回の露出は修正済みのバグが原因だと説明しました。ただ、公開ページからテキストが消えたとしても、WhatsAppが指示を変更したのか、社内で今も使い続けているのかはわかりません。
なぜ重要なのか
サポート用チャットボットが弁護士の役割を果たす必要はありません。しかし、「法的助言はできない」ことと、「ほかにどこで助けを求められるかは教えない」ことは、同じではありません。
規制当局を勧めないという指示があれば、独立した支援を受けられる可能性にユーザーが気づけなくなるおそれがあります。特に、アカウントを削除できずに困っている場面ではなおさらです。
法的助言を避けるためというWhatsAppの説明では、チャットボットが規制当局の紹介を特に禁じられていた理由は説明できません。意図がどうであれ、この制限によってユーザーは選択肢について得られる情報が減る可能性があります。
WhatsAppアカウントの削除方法
WhatsAppをやめたい場合、アプリをアンインストールしてもアカウントが削除されるわけではありません。WhatsAppにはアプリ内に、アカウント削除の専用機能があります。この手続きを完了するには、メインのスマートフォンでログインしている必要があります。WhatsApp Web、デスクトップアプリ、リンクしたほかの端末からは完了できません。
手続きの前に、残したい情報を確保しておいてください。重要なチャットはエクスポートしておくと安心です。アカウントの削除は元に戻せません。WhatsAppによると、削除後はチャット、ドキュメント、メディア、バックアップ、通話履歴を復元できません。
アカウントにまだアクセスできる場合
手順はAndroidとiPhoneでほぼ共通です。
- メインのスマートフォンでWhatsAppを開きます。
- 設定を開きます。Androidでは先に3点メニューをタップします。iPhoneでは設定またはプロフィール写真をタップします。
- アカウントを選び、アカウントを削除を選択します。
- 国番号を含む国際形式で電話番号をすべて入力し、削除ボタンをタップします。
- Androidでは、求められたら理由を選択して削除を確定します。残りの画面表示にも従ってください。
アカウントを削除しても、メッセージを送った相手の端末に残るコピーは削除されない点に注意してください。WhatsAppによると、情報の削除には最大90日かかる場合があります。その後も、バックアップストレージにコピーが残ったり、法的義務や被害防止などの目的で保持されたりすることがあります。
スマートフォンを紛失した、または盗まれた場合
同じ電話番号を取り戻せる場合、WhatsAppが案内する方法は、まずアクセスを回復することです。
- 携帯電話会社に連絡して、紛失したSIMを停止し、同じ番号の再発行SIMを申請します。
- 再発行されたSIMを別のスマートフォンで有効化します。
- WhatsAppをインストールし、その番号で再登録します。
- アクセスを回復したら、上記のアカウント削除手順に従います。
アカウントを再登録すると、紛失または盗難にあった端末はWhatsAppからログアウトされます。WhatsAppは、利用者が該当の電話番号を所有していることを確認できないため、代わりにアカウントを遠隔で無効化することはできないとしています。
アカウントにアクセスできず、番号も取り戻せない場合
ここで、WhatsAppのセルフサービスの案内は限界に突き当たります。アカウント削除のページには、アカウントにアクセスできない人向けの手動削除の代替手段は示されていません。
代わりに説明されているのは、非アクティブなアカウントは通常120日後(米国ユーザーは365日後)に削除されること、また、すでに無効化されたアカウントは再登録されない限り30日後に削除されることです。ただし、これらはあくまで自動削除までの期間です。即時の削除を申請するための手順ではありません。
WhatsApp自身の情報権利に関するページには、ユーザーはデータ保護に関する権利の行使について同社に連絡できると記されています。また、居住地の法域によっては、地域のデータ保護当局に直接連絡することもできるとあります。
後者こそが、アカウントを削除できずに困っているユーザーに対して、サポート用チャットボットが勧めないよう指示されていた内容です。
翻訳元: https://www.malwarebytes.com/blog/news/2026/10/whatsapp-chatbot-privacy-regulators