配送ロボットが顧客を違法にスキャンしたとして提訴

シカゴの顧客2人が、食料品やテイクアウト料理を届けた配送ロボットに、同意なく顔と手をスキャンされたと訴えています。ロボットは取得したデータを氏名や住所と紐づけて保存し、録画をAIの学習にも使っていたとされます。

2件の訴訟は別々に起こされ、配送ロボット事業者のCoco RoboticsとServe Roboticsが、イリノイ州の生体情報プライバシー法に違反したと主張しています。両社はいずれも訴えを争う構えです。

原告らはイリノイ州クック郡巡回裁判所に提訴しました。訴状によると、ロボットはカメラに加え、LiDAR(光による検知と測距)センサーも使って原告をスキャンしたといいます。

LiDARはレーザーパルスを使い、ロボット周囲の詳細な3Dマップを作成する技術です。訴状は、至近距離ではこれらのセンサーが顔の形状を、顔認識に使えるほど詳細にとらえられると主張しています。

Mitchell Breidinger氏は2025年9月、DoorDashで食料品を注文しました。配達したのは、Coco Roboticsが運用するCocoのロボットです。訴状によると、商品を受け取るには、DoorDashアプリにPINコードを入力する間、ロボットのカメラとLiDARセンサーから約1メートル以内に立つ必要がありました。その間、Cocoの遠隔操縦者がライブ映像を見ていたとされています。

Barry Schain氏も、Serve Roboticsに対して同様の訴状を提出しました。同社はSchain氏のUber Eatsの注文を、ロボットで配達しています。

Cyan Robotics(カリフォルニア州に拠点を置き、Coco Roboticsの名称で事業を展開する企業)に対する訴状によると、同社のロボットは走行する都市環境について、360度の詳細なLiDARデータを記録しています。訴状は、CocoがそのLiDARデータにぼかしやダウンサンプリングを施したり、人の顔や手を除去したりしていると明言したことはない、とも指摘しています。

訴状は、同社について次のように主張しています。

「ロボットが人物を記録する前に通知することはなく、データの具体的な利用目的や保存期間も明示していません。書面による同意も得ておらず、保存や破棄に関するスケジュールも公表していません」

訴状はさらに、Cocoのロボットにスキャンされた人はロボット企業に閉鎖すべきアカウントを持たず、ロボットによる配達を受けるかどうかを選ぶこともできないと指摘しています。

訴状によると、Cyanはロボットが集めたデータを自社AIの学習に使っています。ChatGPTを開発したOpenAIなどの企業とは、データ共有の提携も結んでいるといいます。

Schain氏は直近で、10月4日にServeのロボットから配達を受けました。同氏も訴状で同様の主張をしています。Serveの訴状によると、同社はGrubhubとUber Eatsの両方のフードデリバリー注文を請け負っています。なお、Cyanへの訴状とは異なり、Serveのロボットは音声も収集していると指摘しています。

Serve Roboticsは動画とLiDARのデータをサードパーティにライセンス提供し、モデルの学習に使わせていると訴状は主張しています。根拠として、同社自身が米証券取引委員会(SEC)に提出した書類を挙げています。

報道によると、両社は反論しています。

Cocoは、シカゴで生体データを収集したことはないと主張しました。訴訟は「当社の技術を根本的に誤解している」とし、「当社が共有するデータは、すべての利用者にとって歩道をより安全にするための走行用データだ」と述べています。そのうえで、この訴訟を「根拠のないもの」と批判しました。また、Cocoは配達の開始時と終了時のデータは共有していないと説明しています。Serveは、ロボットのシステムは「個人を識別したり、生体プロファイルを作成したりするようには設計されていない」としています。

ロボットが取得するデータがBIPA(イリノイ州生体情報プライバシー法)上の生体情報に当たるかどうかが、両訴訟の争点です。

イリノイ州の生体情報プライバシー法

イリノイ州の生体情報プライバシー法は、生体データの違法な収集や利用をめぐり、企業を訴える権利を個人に認めています。

同法では、手や顔の形状のスキャンが生体識別子に含まれます。企業は、どのような生体情報を収集し、何に使い、どれくらいの期間保管するのかを、書面で本人に伝えなければなりません。本人から書面による同意を得ること、データの破棄スケジュールを公表することも必要です。データの販売や、それ以外の方法で利益を得ることは認められていません。

今回の集団訴訟は、突然起こされたわけではありません。シカゴの住民はすでに、配送ロボットに反対する署名活動を展開していました。衝突事故や緊急車両の妨げになること、監視の可能性への懸念を理由に挙げています。署名したシカゴ市民は4,550人を超えると、同団体は説明しています。

2件の訴訟は、いずれもシカゴの同じ法律事務所、Almeida Law Groupが起こしました。請求額は、過失による違反ではクラスのメンバー1人あたり1,000ドル、故意または無謀な違反では5,000ドルです。どちらの訴状も、想定するクラスには「数千人が含まれる」としています。

翻訳元: https://www.malwarebytes.com/blog/privacy/2026/10/delivery-bots-accused-of-illegally-scanning-customers

本記事は malwarebytes.com の記事を翻訳・要約したものです。