Dive Brief
一方でIBMの調査によると、多くの企業はオンプレミスデータの保護について基本的な対策すら講じていないことも判明しました。
Dive Brief:
- 2025年にデータ侵害を経験した組織のうち、半数は脅威ハンティングにAIエージェントを活用しています。しかし、AIエージェントが本来最も適しているタスク、すなわちネットワーク上の脆弱性のスキャンや管理にAIエージェントを利用している組織は5社に1社にも満たない状況です。
- このデータはIBMの「2026年版データ侵害コストレポート」によるもので、同レポートでは侵害を受けた組織の85%が「セキュリティツールとガバナンス」への投資を今後増やす計画であることも明らかになりました。
- 水曜日に発表された同レポートは、セキュリティオペレーションセンターにおける企業のAIエージェント活用状況、各組織の耐量子暗号への移行状況、そして侵害コストを削減する方法についても取り上げています。
Dive Insight:
新しいレポートによると、データ侵害が企業にもたらす平均コストは現在500万ドルに達しており、IBMの2025年調査時の数値から12%増加しています。AIツールを狙った一部の攻撃はさらに大きなコストを企業に強いており、インバージョン攻撃やプロンプトインジェクション攻撃による被害額は平均でおよそ600万ドルに上ります。
IBMの研究者は「システムを侵害する従来型のエクスプロイトとは異なり、こうした挙動を狙った攻撃はAIモデルの推論や応答のあり方そのものを揺るがします」と述べ、「その結果、対処範囲は技術的な復旧にとどまらず、信頼とガバナンスの領域にまで広がっています」と指摘しています。
AIモデルへの攻撃を受けた組織の圧倒的多数(92%)は、そうしたツールへのアクセスを適切に制御できていませんでした。企業自身がID管理をコストのかかる侵害に対する最良の防御策の一つと位置づけているにもかかわらず、AIシステムへのアクセスを制限していると回答した組織はわずか10社に4社にとどまりました。
ID管理の統制は、企業ネットワーク全体に広がるAIの拡大に「追いついていない」とIBMの研究者は述べています。「その結果は予測可能なものです。攻撃経路は拡大し、金銭的な影響はより大きくなり、攻撃者に高度な技術がなくても悪用できるような基本的な統制の不備が原因となるインシデントが発生しています」としています。
同レポートによると、米国内の組織は他国の組織と比べて侵害コストが高く、中でも医療分野が最もコストの高い攻撃を経験しています。
企業幹部の関心がAIにますます集まる一方で、攻撃の実態を左右しているのは依然として基本的なサイバーセキュリティの原則です。オンプレミスシステムはプライベートクラウド、パブリッククラウド、ハイブリッド環境のいずれと比べても侵害件数が多く、被害の大半はデータを暗号化していなかったため、攻撃者にとってより魅力的な標的となっていました。
同レポートによれば、AIに関して欠けているのはガバナンスであり、この結果はこれまで数多く積み重ねられてきた、企業が管理方法を確立する前にAI導入を進めているという 調査結果とも一致しています。シャドーAIが関与するセキュリティインシデントの割合は前年比で2倍以上に増加し43%に達しており、こうした侵害の平均コストも上昇しています。組織の3分の2以上が、シャドーAIを制限するガバナンスプロセスを整備していないと回答しており、これは2025年の数値からわずかに増加しています。
IBMのレポートは、2025年3月から2026年2月の間にデータ侵害を経験した602の組織を対象とした調査に基づいており、回答者は16カ国17業種を代表しています。
翻訳元: https://www.cybersecuritydive.com/news/data-breach-costs-ai-governance-ibm/826463/