偽のIRS通知書、暗号資産保有者を偽コンプライアンスポータルへ誘導

詐欺グループが暗号資産保有者宛てに、IRS(米国内国歳入庁)の公式通知書に酷似した外観の紙の手紙を送りつけています。

この手紙は、受取人に対して「Digital Asset Compliance Portal(デジタル資産コンプライアンスポータル)」なるものへの登録を期限までに済ませなければ罰則を科すと通告する内容になっています。

IRSは「Digital Asset Compliance Portalへの登録を指示するIRS名義の手紙を受け取っても、絶対に応じないでください。IRSはそのような手紙を送っていません。IRSはDigital Asset Compliance Portalを運営していません。これは詐欺です」と述べています。

Coinbaseは脅威インテリジェンス企業のDarkTowerと協力し、顧客からこの手紙を受け取ったとの報告を受けて、この手口の詳細を独自に公表しました。

DarkTowerの調査により、このサイトのインフラは手紙の送付からわずか数日前に香港のレジストラを通じて登録されたドメインに行き着き、ホスティング先はルーマニアで、銀行や配送業者を装ったフィッシングページに以前から関連付けられていたインフラであることが判明しました。

手紙の手口

この手紙は無地の封筒に入って自宅住所宛てに届き、財務省とIRSのブランドを模したデザインに、通知番号、対象となる課税年度の範囲、そして受取人にじっくり考える間を与えず行動を急がせるための期限が記載されています。QRコードも同封されています。

QRコードを読み取ると、「アメリカ合衆国政府公式サイト」というバナーに至るまで政府ポータルそっくりに作り込まれたサイトに誘導されます。

そこから詐欺は段階を追って進行します。訪問者はまず利用している取引所やウォレットを選択するよう求められ、次に保有資産の評価額を入力させられ、最後に「担当者」が電話をかけて「本人確認」を完了させるとして電話番号の入力を求められます。

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偽の「Digital Asset Compliance Portal(DACP)」のランディングページ(出典:Coinbase)

「その電話こそが本当の攻撃です」とCoinbaseは指摘しています。

サポート担当者を装った相手は、被害者にワンタイムコードやパスワード、シードフレーズを渡すよう仕向けたり、資金を自分たちが管理する「安全な」ウォレットへ移すよう誘導したりします。

DarkTowerはバーナー用の電話番号を使ってこの流れを実際に検証しました。「続ける」をクリックした後、サイトは反応を返さなくなりました。折り返しの電話もかかってこず、その後のページも表示されませんでした。Coinbaseによれば、この結果からは2つの可能性が考えられるといいます。電話がのちに来るよう仕組まれているか、あるいは電話番号と選択した取引所の情報が、将来のソーシャルエンジニアリング攻撃に使うために収集されているかのいずれかです。

すでに情報を入力してしまった人は、利用している取引所のパスワードを変更し、二要素認証の設定を確認したうえで、手紙や電話の相手から伝えられた番号ではなく、取引所自体の公式アプリやサイトを通じて連絡を取るべきです。スクリーンショットや手紙、メールは証拠として保管しておく価値があります。

IRS犯罪捜査局(IRS-CI)のJarod Koopman局長は、「犯罪者は説得力のある偽サイトや公式に見える文書を作成することで、政府機関に対する国民の信頼を悪用し続けています」と述べています。

Koopman氏は「予期しない個人情報の要求に応じる前に、いったん立ち止まって発信元を確認し、詐欺の疑いがあれば法執行機関に通報してください」と付け加えています

翻訳元: https://www.helpnetsecurity.com/2026/08/04/fake-irs-crypto-letters-compliance-portal-scam/

ソース: helpnetsecurity.com