セキュリティ
侵入者はエンジニアリングファイルおよび輸出管理対象となりうる技術データにアクセスしていました
米国の防衛・航空宇宙関連サプライヤーであるIEH Corporationは、規制当局への届け出において、犯罪者が同社のMicrosoft 365メールボックスへの侵入に成功していたことを認めました。
IEHが木曜日に米証券取引委員会(SEC)に提出したForm 8-Kによると、同社の従業員1名がフィッシング詐欺に引っかかり、攻撃者にM365環境へのアクセスを許してしまったとのことです。
攻撃者は「将来の取引先候補になりすまし」、本物そっくりのMicrosoft共有リンクを装ったメールを従業員に送りつけました。そこに用意された偽のログインページによって、被害者のM365認証情報がまんまと窃取されてしまいました。
IEHはSECへの届け出[PDF]の中で、「脅威アクターはメールメッセージ、添付ファイル、顧客とのやり取り、発注書、エンジニアリング関連文書、そして輸出管理対象となりうる技術情報を含む、メールボックスの内容にアクセスしました」と説明しています。
IEHによると、これらの情報がコピーされたり外部に持ち出されたりした「証拠は見つかっていない」とのことですが、「侵害期間」中は侵入者がアクセス可能な状態にあったといいます。
IEHが侵入を発見したのは8月4日でしたが、侵害されたアカウントに最初にアクセスされた時期や、侵入者がどのくらいの期間内部に留まっていたのかについては明らかにしていません。
「アカウントは保護され、悪意のあるメールボックスルールは無効化され、証拠は保全され、是正措置が進行中です」と同社は述べています。「封じ込めと調査活動に続き、当社はMicrosoft 365サービスに適用されるアカウントセキュリティ管理および認証保護の見直しに着手しました」
今回のインシデントによって業務が中断することはなく、IEHは調査が継続しているものの、重大な影響が生じるとは見込んでいないとしています。
情報の持ち出しが検知されていないからといって、侵入者が受信箱を単に閲覧しただけで立ち去ったとは限りません。侵害されたメールボックスは、通信の監視、従業員へのなりすまし、支払いの不正な誘導、さらなる攻撃の準備などに悪用される可能性があり、データの窃取が必ずしもMicrosoft 365のログに現れるとは限らないのです。
今回の攻撃の犯人を特定するには情報が不足しています。IEHが防衛・航空宇宙関連の顧客向けに行っている業務は、スパイ活動の標的として魅力的である可能性がありますが、一般的なサイバー犯罪者が詐欺やデータ窃取を目的としてメールボックスを侵害するケースも珍しくありません。
ロシアと中国はいずれも、この1年間に防衛関連情報を狙って米国の組織を探っていたことが発覚していますが、今回のIEHへの攻撃の背後にどちらかがいたことを示す証拠は今のところありません。
ブルックリンを拠点とするIEHは、過酷かつ高ストレスな環境向けに設計されたハイパーボロイド・コネクタを製造しています。同社の部品はプリント基板、医療機器、民間航空機、戦闘機、ミサイル、人工衛星、その他各種システムに使用されています。IEH製ハイパーボロイド・コネクタを採用している著名な米国のプログラムには、PATRIOT防空システム、AMRAAM、THAAD、APKWS精密誘導ロケット、MARK-48魚雷などが含まれます。®