企業SOCにおけるAI活用を阻む4つのギャップ

オピニオン

2026年8月12日読了時間6分

AIはSOCチームを高速化できますが、それは既存のワークフローに適合し、ツール群と連携し、アナリストの信頼を得られた場合に限られます。

人工知能(AI)は、企業のセキュリティチームにとって急速に戦略的優先事項となりました。しかし、AI駆動型セキュリティソフトウェアへの投資が拡大しているにもかかわらず、多くの企業SOCはAIを測定可能な運用改善へと転換させることに苦戦しています。

問題はAIがSOCに必要かどうかではありません。それはすでに明らかです。

課題は、多くの組織が明確な運用戦略を持たないままサイバーセキュリティへのAI導入を進めていることにあります。新たなAI施策は、アナリストの作業負担を軽減し対応時間を改善するどころか、むしろ複雑さの増大やワークフローの分断、不確実性をもたらすことが少なくありません。

企業のセキュリティ運用責任者に必要なのは、AIをさらに増やすことではありません。既存のSOCの働き方に適合しながら、より高度な自動化への実践的な道筋を築けるAIです。

ここでは、今日の企業SOCにおけるAIセキュリティ運用の導入を妨げている4つのギャップと、成功している組織がそれらにどう異なる取り組み方をしているかを紹介します。

ギャップ1: 信頼性と説明可能性

多くの企業のセキュリティ責任者にとって、最大の障害は技術そのものではなく「信頼」です。

セキュリティチームは、あらゆる調査、アラート、対応判断について監査人や経営陣、規制当局に説明を求められる可能性がある、規制の厳しい環境で業務を行っています。AIプラットフォームがどのようにその結論に至ったかを示さず単に答えだけを出す場合、アナリストはブラックボックスの推奨をそのまま受け入れるか、手作業で調査をやり直すかの二択を迫られることになります。

どちらの結果もセキュリティ運用管理の改善にはつながりません。導入に成功しているAIは、説明可能性を重視しています。アナリストが確認できるべき項目は次の通りです。

  • 参照したすべてのデータソース
  • 実施したすべての調査ステップ
  • 結論に至った経緯
  • 人間による検証が求められる箇所

AIが不透明な自動化ではなく透明性のある推論を提示すれば、アナリストは最終判断への説明責任を保ちながら、そのプラットフォームへの信頼を深めることができます。人間の専門知識が主導権を握り続け、AIは調査プロセスを置き換えるのではなく加速させる役割を担います。

ギャップ2: スキルとワークフローのギャップ

多くの企業SOCは、長年かけてプレイブックやランブック、運用プロセスを整備してきました。

問題は、それらの投資を置き換えるべきかどうかではなく、どのように進化させるかです。

多くの組織は、AIを導入するにはワークフローをゼロから作り直す必要がある、あるいはセキュリティエンジニアリングチームに独自のAI機能を社内開発させる必要があると思い込んでいます。一方で、既存のアナリスト業務プロセスのどこにAIを組み込むべきか判断がつかず、導入を先送りにする組織もあります。

これが不要な摩擦を生んでいます。

より実践的なアプローチは、既存のワークフローを置き換えるのではなく強化することです。まずは最も価値の高いユースケースから着手し、反復的な調査タスクを自動化し、段階的に機能を拡張していきます。

AI導入は「crawl(這う)、walk(歩く)、run(走る)」という段階的戦略だと捉えてください。

  • 最も重要なシステムから始める。
  • まずは反復的な調査業務を自動化する。
  • 時間をかけて連携範囲を拡大する。
  • アナリストが技術と並行して学習できるようにする。

このアプローチは導入を加速させるだけでなく、より優れたアナリストの育成にもつながります。AIが各調査ステップを可視化することで、チームは自動化に過度に依存することなく、セキュリティの専門知識を積み重ね続けることができます。

SOCチームが抱える最大の課題の一つは、AI自体とは関係のないところにあります。それは、あまりにも多くのツールが存在することです。

企業のアナリストは、インシデントの調査そのものよりも、ダッシュボード間を行き来する作業に多くの時間を費やしていることが少なくありません。SIEM、EDRプラットフォーム、脆弱性管理システム、ID管理ツール、クラウドセキュリティプラットフォーム、チケッティングシステム、コラボレーションプラットフォームは、それぞれ有用なコンテキストを持っていますが、それらが一元的に提示されることはほとんどありません。

多くのAI施策は、まずすべてをセキュリティデータレイクに統合したり、大規模言語モデルを一元化されたデータセットで再学習させたりすることでこの問題を解決しようとします。組織によっては有効な手段ですが、こうしたプロジェクトの完了には数か月、場合によっては数年を要することもあります。

より迅速なアプローチは、データを移動させるのではなく、アクセスを統一することです。

組織に長期の移行プロジェクトを強いる代わりに、最新のAIプラットフォームは既存のセキュリティ技術に安全に接続できます。これにより、データを現在の場所に置いたまま、アナリストは自然言語で複数のシステムに問い合わせることが可能になります。

10種類もの異なるインターフェースを行き来する代わりに、アナリストは既存環境全体を横断する統一された運用ビューを手に入れられます。これにより調査時間が大幅に短縮される一方、これまでの技術投資も無駄になりません。

ギャップ4: 運用戦略を伴わないガバナンス

多くの組織は、AIが必要であることは認識しています。しかし、SOC内でAIを実際にどう活用すべきかについてガバナンスを確立できている組織は多くありません。

明確なガバナンスがなければ、AI施策は運用上の問題解決よりも技術の導入そのものに焦点が当たりがちです。チームは、アナリストによる監督体制や承認プロセス、成功指標を定義しないまま自動化を導入してしまいます。

効果的なAIガバナンスは、シンプルな問いから始まります。「私たちが解決しようとしている運用上の課題は何か」という問いです。

そこから、セキュリティ責任者はAIが人間の意思決定を置き換えるのではなく支援する仕組みとなるよう、ガードレールを設けることができます。

  • 明確に定義されたアナリストによる監督
  • 透明性のある意思決定プロセス
  • 段階的な自動化
  • 測定可能な運用成果
  • ワークフローの有効性に対する継続的なレビュー

目指すべきは自律型セキュリティではありません。インテリジェントな自動化に支えられた、信頼できるセキュリティ運用です。

AIを運用上の価値へと転換する

企業SOCにおけるAIセキュリティ運用の成功は、既存技術の置き換えから始まるものではありません。既存技術を連携させて機能させることから始まります。

AIから最大の価値を引き出している組織は、次の点に注力しています。

  • 大規模な移行プロジェクトを伴わずにセキュリティデータを統合すること
  • 運用の複雑さを軽減しながら、既存の投資を維持すること
  • セキュリティツール群を横断する単一の対話型インターフェースをアナリストに提供すること
  • ドキュメント作成と調査サマリーの自動化
  • アナリストの意思決定を強化する説明可能なAIの提供

最新のAIは、アナリストに何十ものコンソールを行き来させる代わりに、関連するコンテキストを浮かび上がらせ、複数システムにまたがる調査結果を関連付け、調査アクションを自動的に記録し、チケッティングやコラボレーションプラットフォームですぐに使えるインシデントサマリーを生成できます。

その結果として得られるのは、単なる自動化の増加ではありません。より迅速な調査、アナリストの生産性向上、そして今日の企業環境が抱える増大する複雑さに対応できるセキュリティ運用管理です。

今後の道筋

サイバーセキュリティにおけるAI導入は、もはや「導入するかどうか」ではなく「どう導入するか」の問題です

企業のセキュリティ責任者は、SOCを一夜にして作り直したり、既存のプラットフォームをすべて置き換えたりする必要はありません。必要なのは、既存の投資を尊重し、現行のワークフローと統合し、透明性を通じてアナリストの信頼を築くアプローチです。

この4つのギャップに対処した組織は、AIの試験導入段階を超えて、測定可能なセキュリティ運用の成果へと歩みを進める態勢を整えられます。

なぜなら、企業SOCにおけるAIの未来とは、アナリストを置き換えることではないからです。それは、アナリストがより良いセキュリティ判断をより迅速に下せるよう、必要な可視性とコンテキスト、そして自動化を提供することにほかなりません。

Dave Brown氏は、Andesite AIのCISO兼CIOであり、彼の戦略により8つのコンプライアンス基準の達成と、2025年における100を超える企業アプリケーションの統合・デジタルトランスフォーメーションが実現しました。現在は、同社をFedRAMP High認証の取得へと導いています。Andesite以前は、Qualtricsでグローバルセキュリティ戦略責任者を務め、Clarabridgeのセキュリティプログラムの統合や、Qualtricsによる11億2000万ドルの買収後の新たなサイバーリスクプログラムの構築を巧みに主導しました。

Clarabridge以前は、米国国土安全保障省(DHS)傘下のUS-CERTでいくつかのリーダー職を歴任しました。直近の役職は副ディレクターで、連邦機関全体のセキュリティ枠組みを大きく強化する国家サイバーセキュリティプログラムを主導しました。フォーチュン500企業へのコンサルティング経験を持ち、4社のスタートアップで勤務してきており、Andesiteは5社目にあたります。

翻訳元: https://www.csoonline.com/article/4208086/4-gaps-slowing-ai-in-enterprise-socs.html

ソース: csoonline.com