企業ITのハイブリッド化はすでに現実のものとなっています。CISOやサイバーセキュリティ責任者は、ますます分散化・動的化・複雑化する環境に対応するセキュリティフレームワークを構築しなければなりません。ワークロードは、キャンパス、ブランチ、データセンター、コロケーション、クラウドといったアーキテクチャ全域に分散しています。セキュリティチームは、そのすべての場所で保護を提供する必要があります。さらに、性能面の課題にも向き合わなければなりません。より深い検査は遅延を招き、ユーザー体験に影響するためです。 加えて、従来型のセキュリティモデルにも対処する必要があります。ベストオブブリード型のソリューションを個別に導入すると、ポリシーのずれが生じやすく、トラフィックの検査や適用に抜け漏れが残りがちです。
人工知能(AI)が加わると、複雑さと緊急性はさらに高まります。大規模言語モデル(LLM)などのアプリケーションは大きな可能性を秘めている一方、フロンティアAIモデルという形で新たな脅威にもなっています。その結果、AI時代にはセキュリティの有効性とネットワーク性能を、どちらかを犠牲にすることなく両立させて高める必要があります。
この変化により、企業のサイバーセキュリティ基盤として長く位置づけられてきたファイアウォールに対する、セキュリティチームの見方も変わりつつあります。調査によると、企業の79%が、変化するビジネスニーズに対応するためにファイアウォールアーキテクチャの刷新が必要だと懸念しています。
ハイブリッドメッシュファイアウォールが分散型セキュリティの制御を一元化
従来の固定的な境界防御は、エッジインフラ、クラウドゲートウェイ、AIモデル、SaaSアプリケーション、そして無数のスマートデバイスに取って代わられました。複数のツールを使ってネットワーク上の複数のセキュリティ制御ごとにポリシーを策定するのではなく、アクセス制御、検知、ポリシー適用を包括的かつ統合的に扱えるソリューションを、企業は求めています。そこで登場するのが、ハイブリッドメッシュファイアウォール(HMF)です。
HPE Networkingのセキュリティ担当バイスプレジデント、ケダル・ドゥルー(Kedar Dhuru)氏は次のように述べています。「企業がAIを拡大するなか、セキュリティはもはや、孤立した制御の寄せ集めとして機能することはできません。HMFは自動運転ネットワークの適用レイヤーとなります。一元化されたインテリジェンスと統合ポリシーに自律的な保護を組み合わせ、企業全体のあらゆるユーザー、ワークロード、接続を守ります」
HMFの大きな利点は、複数のファイアウォールベンダーや個別の管理ツールへと場当たり的に拡大していく流れを抑え、ネットワークセキュリティのアーキテクチャを簡素化できることです。Omdiaの調査は、企業の89%が複数のファイアウォールベンダーと複数のセキュリティ製品を利用していると指摘しています。これが複雑さと潜在的な脆弱性の温床となっており、エンドツーエンドのセキュリティ態勢を改善するには対処が欠かせません。
ドゥルー氏は「ファイアウォールは、もはや単にネットワークの入口を守る存在ではありません。ネットワーク内部に分散配置されるセキュリティ制御へと変わりつつあります」と指摘します。
HMFは、侵害の発生前、発生中、発生後のそれぞれで幅広いメリットをもたらします。たとえば侵害前には、ポリシーを一元的に統合し、ラテラルムーブメント(横方向の移動)に対する死角を特定できます。攻撃者がネットワーク内部の東西方向の攻撃を好むようになった現在、これは不可欠です。また、増え続け、しばしば矛盾するポリシーやルールをHMFで集約できるほか、アプリケーション開発サイクルへの影響を抑えることもできます。
さらにHMFは、急速に拡大するデータセンターのエッジも保護します。同じセキュリティスタックを使い、仮想ファイアウォールやコンテナベースのファイアウォールでアプリケーションのワークロードを守ります。管理は単一のコンソールから行い、ポリシーも共通です。
侵害の試みが発生している最中には、デバイス、アプリケーション、データソースの全域にわたるセグメンテーションによって、HMFは「被害範囲(ブラストラディウス)」を効率的に封じ込めます。また、効率的な連携によりチーム間でポリシー適用を調整する手間が減り、対応時間を大幅に短縮できます。
侵害が発生した後も、HMFはデータソースやインフラモデルを問わず、企業全体で一貫してポリシーを適用することで、規制コンプライアンス違反のリスクを抑えます。インフラ、アプリケーション、物理拠点にまたがるデータを突き合わせる必要がなくなるため、インシデント後のフォレンジック分析も簡素化され、迅速に進められます。
ソリューション選定のポイント
セキュリティ上の隙を減らし、自律的な保護を実現する可能性を高めるための取り組みを強化するにあたり、ソリューションに求めるべき主な機能があります。
- ファイアウォール単体ではなく、より広い文脈で捉えること。 ネットワークとセキュリティのモデルは連携して機能する必要があります。自動運転型のアーキテクチャでは、ネットワークインフラ(ルーター、スイッチ、アクセスポイント、ファイアウォール)がテレメトリを提供し、ポリシーの適用にも参加します。これにより、ユーザー、アプリケーション、データにより近い場所でセキュリティを適用できます。
- HMFは、あらゆるフォームファクターにまたがる単一のセキュリティ基盤の中核となること。 共通のセキュリティスタック、統合ポリシーモデル、一元管理からなる統合アーキテクチャを前提に設計されている必要があります。
- インテリジェンスは一元化し、適用は分散すること。プラットフォームは、単一の管理フレームワークから、ユーザー、アプリケーション、ワークロード、拠点の全体に一貫したセキュリティポリシーを適用できる必要があります。
- 保護の向上と効率化に向けた「AI for Security」への取り組み。 適切に活用すれば、AIは企業セキュリティの戦略的資産となり、リスクを低減し、運用担当者の負荷を軽減します。AI for Securityにより、自律的な保護の実現に近づき、より効率的で信頼性が高く、広範囲に及ぶ脅威検知が可能になります。
- 妥協のない性能、耐障害性、有効性を、第三者の検証で示せること。 ファイアウォールは、実環境のトラフィック条件下で、スループット、可用性、ユーザー体験、セキュリティの有効性を損なうことなく、重要なセキュリティサービスを大規模に支えられなければなりません。
- オープンなアーキテクチャ、自動化、クラウドネイティブな運用への取り組み。 HMFは、組織のIT環境全体にある既存の運用モデルに適合する必要があります。自律的な運用は、HMFに欠かせない重要な機能です。ドゥルー氏は「攻撃がネットワークの速度で進行する以上、防御を人間の速度による調査やポリシー更新だけに頼ることはできません」と述べています。組織は、AIを使ってセキュリティ運用全体を簡素化・迅速化する「AI for security operations(AI SecOps)」の考え方を取り入れるべきです。
- プロアクティブで継続的な保証。複雑に分散したハイブリッド展開環境では、HMFがセキュリティ制御、デバイス、ネットワーク間の相互接続、アプリケーションといった複数の側面で、継続的な評価と保証を提供する必要があります。
HPEはHMFの約束をどう実現するか
HPE Networkingの使命は、ブランチ、キャンパス、データセンター、クラウドネイティブ環境にわたる自動運転ネットワークを提供することです。この自動運転ネットワークとHMFは、共有されたテレメトリと連携したセキュリティ適用の上で融合し、自己防御型のネットワークを生み出します。ネットワークとセキュリティが共通の状況認識のもとで効果的に機能し、すべてのトラフィックを遠隔地や集中型の検査拠点に通す代わりに、最も効率的な地点で制御を適用できます。
HPEは、ルーティング、スイッチング、ファイアウォールの各領域でネットワークとセキュリティをシームレスに統合しています。第三者による有効性テストで検証された業界最高水準のSRXファイアウォールが信頼性の高い脅威防御を提供します。さらに、NETCONF、オープンAPI、自動化ツール、CI/CDワークフローとの緊密な統合により、運用の簡素化と展開の迅速化を実現します。
HPEのビジネスコンサルタントと技術コンサルタントは、複雑でミッションクリティカルなサイバーセキュリティ上の脆弱性を抱える企業顧客に対し、HMFをはじめとする高度なツールやセキュリティサービスを軸にした自動運転ネットワークの設計・導入について、日常的に助言しています。