米政府機関のシステムでDeepSeek AIツールが使用禁止に、中国との対立が深まる


  • 米国の文民機関に対し、DeepSeekの使用を停止し、政府のシステムから削除するよう命令
  • 国土安全保障省(DHS)は、データセキュリティ、ユーザー追跡、国家安全保障上のリスクの可能性を理由に挙げた
  • 今回の措置により、政府インフラ全体における中国製技術への米国の規制がさらに拡大

ドナルド・トランプ政権は、中国の人工知能(AI)モデル「DeepSeek」をすべての文民政府機関で禁止しました。各機関に対し、直ちに使用を停止し、技術基盤から削除するよう命じています。

今週初め、米国土安全保障省(DHS)は新たな通知を出し、この変更を政府機関に周知しました。

「国土安全保障省は、国土安全保障長官が発出した命令を公示する。この命令は、(1)杭州深度求索人工智能基礎技術研究有限公司(Hangzhou DeepSeek Artificial Intelligence Co., Ltd、以下DeepSeek)が開発した情報技術製品およびサービスを、適用規則で定義される関連事業体も含めて、連邦文民機関の調達から除外し、(2)DeepSeekおよびDeepSeek関連の製品、ならびにDeepSeekの実装を用いて開発されたサードパーティ製の製品・サービスをすべて、文民機関の情報技術から削除するものである」

複数の脅威ベクトル

トランプ政権が中国のAI技術に対して措置を講じたのは、今回が初めてではないようです。CNBCによると、この命令は今年7月下旬に出されたもので、財務省、国務省、司法省など連邦の文民機関に適用されますが、国防総省は対象外です。同メディアはさらに、米議会が昨年末に情報コミュニティのシステムでのDeepSeek使用を制限し、それより前の3月には米商務省が職員にDeepSeekを使わないよう通達したとも伝えています。国防情報システム局(DISA)は2025年1月に使用を禁止しました。

DHSの最新の命令は、DeepSeekのモデルが「複数の脅威ベクトルをもたらす」と指摘しています。このツールを使うには、個人を特定できる情報(PII)から企業の機密情報、専有情報まで、さまざまなデータを提供する必要があります。同社はこれらを使って「ユーザーを追跡し、デジタルフィンガープリントを取得」できるといいます。さらに、中国の法律では、民間企業が作成・保管するデータに政府が容易にアクセスして収集できます。つまり、米国民の情報が中国政府の手に渡りやすいということです。DHSは、これが「米国人や政府プログラムに関する、実用的なインテリジェンスを生み出しかねない」と説明しています。

DHSはまた、「モデル自体にマルウェアやその他のセキュリティ脆弱性が含まれている可能性がある」と強調しました。「実際、オープンソースのセキュリティ調査では、DeepSeekのiOSモバイルアプリに複数の重大な脆弱性があることが判明している」としています。

コメントを求められた中国外務省は、Reuters通信に対し、自国企業の権利を守る考えを示しました。外務省の毛寧(Mao Ning)報道官は同通信に「中国は、国家安全保障の過度な拡大解釈や、科学技術・貿易問題の政治問題化に一貫して反対する」と述べています。

中国との貿易戦争

トランプ米大統領は、中国製技術の利用に公然と反対しており、すでに複数の企業や製品を禁止しています。第1期政権では、通信大手のHuaweiやZTE、半導体メーカーのSMIC、ドローンメーカーのDJI、監視技術企業のHikvisionやDahua Technologyなど、数百社に及ぶ中国企業と関連会社をブラックリストに載せました。ZTEはこれで倒産寸前に追い込まれ、HuaweiはGoogleとAndroidへのアクセスを失った後、独自のモバイルOS「Harmony OS」を構築するに至りました。当時、米国は携帯電話網の5G化を進めており、中国企業もその事業に関心を寄せていました。しかしトランプ氏は、中国政府がこうした企業にバックドアの設置を強制し、米国の通信を盗聴できるようになりかねないと主張しました。

第2期政権下の2026年8月には、トランプ氏が国家非常事態を宣言する大統領令に署名し、外国製の大規模電力システムすべてについて、国内への輸入、設置、使用を禁止しました。さらに、政府が既存のシステムを分析し、外国製のハードウェアやソフトウェアを特定して排除する方針も示しました。同様の禁止措置は第1期政権でも出されましたが、バイデン政権が撤回していました。

Reutersの報道によると、連邦通信委員会(FCC)は今月中に、中国国内のすべての試験機関が米国で使われるハードウェアを試験することを禁じる採決を行う予定です。昨年は、米国で販売された電子機器の5分の4(82%)が中国で試験されていました。



翻訳元: https://www.techradar.com/pro/security/deepseek-ai-tools-banned-from-us-government-agency-systems-as-rift-with-china-grows

本記事は techradar.com の記事を翻訳・要約したものです。