Googleは、社内で使われてきたツール「Elephant-Goldfish Model」プラグインをオープンソース化しました。このプラグインは、AIコーディングエージェントにコードを書かせる前に設計書を作成させ、その内容を自ら弁護させます。さらに、設計時の会話を一切知らない新しいAIセッションにその設計書を渡し、問題点を洗い出すよう指示します。

EGMプラグインの概要(出典:Google)
Elephant-Goldfish Modelのチームは、次のように述べています。「AIによって開発速度は劇的に向上しました。しかしその一方で、『スロップ』(低品質な生成物)やバグ、セッションのコンテキスト崩壊が生まれる速度も高めてしまい、信頼性の危機を招きかねない状況を静かに生み出しています。生成AIツールはコーディング速度の向上には優れていますが、構造化されたガードレールのない純粋な速度は、コードを速く書くというより、むしろミスを自動的にスケールさせることになりかねません。人間がシステムを理解する必要性と、AIの実行能力とを結び付ける、パラダイムシフトが必要です」
長期記憶と無記憶
「Elephant(象)」は、プロジェクト全体を把握し続ける長時間稼働のセッションです。アーキテクチャや意図、途中で下した細かな判断まで保持します。コードは一切書きません。役割は、開発者へのヒアリング、選択肢をめぐる議論、そして記録の維持です。
一方の「Goldfish(金魚)」はステートレスで、それまでの経緯の記憶を持たずに起動します。Googleの考え方は、設計の議論に参加していないレビュアーなら、その議論で生じた盲点を引き継がないというものです。
コードを書く前の3つのチェック
プラグインは3つのフェーズで動作し、それぞれがコマンドになっています。egm-brainstormでは、開発者とElephantがコードを書かないというルールのもとで、選択肢を議論し、前提を検証します。egm-draftでは、問題の定義、技術的な方針、検討した代替案、変更対象の具体的なファイル名を挙げた実装計画をまとめたMarkdown形式の設計書を作成します。
Goldfishが登場するのはegm-reviewです。まず1つのGoldfishが設計書の全文を読み、その設計内容をElephantに説明し返します。計画を正しく理解できなければ、設計書は曖昧だとみなされ、書き直しに戻されます。続いて複数のGoldfishが敵対的なレビュアーとして、エッジケースや隠れた依存関係、論理の抜けを探します。指摘はElephantに返され、解決が図られます。最後のGoldfishは、ファイルパス、データ構造、関数シグネチャがすべてそろっていて曖昧さがないかを確認し、実装に進めるかどうかを判断します。
セキュリティ上の欠陥は、レビュアーの確認項目に明示されていません。設計の脅威レビューが必要なチームは、別途その仕組みを用意する必要があります。ただし、ルールやレビュアーのペルソナはカスタマイズ可能なため、セキュリティに特化したGoldfishを追加することもできます。
Googleでは日々数千人が利用
リポジトリには、Markdown形式のルール、サブエージェントのペルソナ(各AIレビュアーが担う役割)の定義、レビューのワークフローが含まれています。プラグインはAntigravity開発環境で動作します。Googleによると、他の環境への対応も予定されています。
Googleによると、同社では毎日数千人の社員がこのプラグインを使い、本番環境のコードを出荷しています。プラグインはGitHubで無償公開されています。
翻訳元: https://www.helpnetsecurity.com/2026/10/26/google-elephant-goldfish-model-plugin/