インドのデジタルトラスト企業eMudhraは、中間認証局(CA)8つの秘密鍵が容易に推測できる状態だったことが判明したのを受け、世界のSSL/TLS証明書市場から撤退する方針です。
この問題は2026年10月17日、Wayneと名乗る研究者がMozillaに報告しました。Mozillaは独自に鍵を復元し、その後セキュリティ研究者のScott Helme氏が公開分析で脆弱性を実証しました。同氏は8つの鍵すべてを1秒足らずで復元しています。これらの鍵は、暗号の安全性に必要な大きく予測困難な値ではなく、小さな数値として生成されており、2025年4月に作成されたものでした。
Helme氏はブログ記事で次のように説明しています。「8つの中間CAの内訳は、TLS発行用CAが6つ(DV、OV、EVの各2世代)、コード署名用CAが2つで、いずれも2025年4月に作成されました。しかもすべてが2025年5月に、SectigoのAAA Certificate Servicesルートでクロス署名されていました」
eMudhraは、鍵生成プロセスの欠陥が原因だとしており、根本原因を調査中です。同社のグローバルSSL/TLS事業は売上高の約1%を占めます。撤退の理由としてコンプライアンスコストの増大とデータ主権要件を挙げました。一方、V Srinivasan会長は、この部門の全体的な重要度に比べて世間の注目は過大だと述べています。
ブラウザ各社、影響を受けた証明書の信頼を撤回
Mozillaは、OneCRLを通じて影響を受けた中間CAをブロックしました。続いて、これらに署名したルート証明書「emSign ECC Root CA – G3」の信頼も削除する手続きに入っています。Googleは、Chromeのルートストアからの削除を10月27日に予定しています。ChromeとFirefoxは、影響を受けたTLS用の中間CA 6つをすでにブロック済みです。
GoogleのCertificate Transparency公開記録によると、影響を受けた6つのウェブサイト署名用中間CAにチェーンするTLS証明書は、ブロックされる前にログへ記録されていませんでした。ただし、10月21日時点で、より広いルート階層にチェーンする有効期限内の証明書が約3万800件ありました。これらが侵害された鍵で発行されたとは限りません。
eMudhraによると、8つの中間CAのうち7つは本番環境で使われたことがなく、残る1つもエンドエンティティ証明書を一度も発行していませんでした。
以前から出ていた兆候
eMudhraは、パートナーを通じて無償の代替証明書を提供しています。発行済み証明書が失効するか置き換えられるまで、証明書の失効・ステータスサービスを維持するとも約束しました。
今回のインシデントは、過去の証明書管理上の問題にも疑問を投げかけています。Mozillaの公開インシデント記録によると、eMudhraは2025年5月、6つの中間認証局について無効な証明書失効リスト(CRL)を公開していました。
Mozillaは今回のインシデント調査の中で、なぜ以前の調査で、対象の認証局に複数の鍵ペアが生成されていた事実が判明しなかったのかを問いただしました。
今回の件の影響は、ブラウザにとどまりません。Javaのキーストア、コンテナイメージ、ロードバランサー、相互TLS構成は、それぞれ独自のトラストストアを持つ場合があります。Javaは既定では証明書の失効を確認しません。そのため、パッチ未適用の環境では、影響を受けたチェーンを信頼したままだと、偽造証明書を受け入れ続けるおそれがあります。
Javaプラットフォーム提供元のAzulは、10月22日の声明で、侵害された8つの証明書をブロックする更新版のAzul Zulu Builds of OpenJDKとAzul Primeをリリースしたと明らかにしました。更新では、これらの証明書がJavaランタイムのブロックリストに追加されます。インストール後の手動変更は不要です。Azulは、すぐに更新できない環境向けに回避策の手順も公開しました。
セキュリティ担当チームは、ブラウザ以外の証明書への依存関係も見直す必要があります。あわせて、ベンダーの関連アップデートを適用し、必要に応じて重要なサービスを、独立した信頼できる認証局へ移行してください。
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翻訳元: https://hackread.com/emudhra-exit-ssl-tls-market-8-ca-keys-guessable/