3AMランサムウェア、英国の学校群への侵入で人間とAIのハイブリッド手口を使用

英国の学校群が、ランサムウェアグループ「3AM」による、人間とAIを組み合わせた特異な攻撃を受けていたことが、Bitdefenderの調査で明らかになりました。

このインシデントは2026年9月10日から19日にかけて発生しました。攻撃者は37台のマシンを暗号化したほか、侵害した環境にドメイン間の信頼関係を構築し、他の学校へ到達しようとしました。

注目すべきは、侵入後の手口の一部をキーボードの前にいる人間のオペレーターが実行し、残りの部分はAIエージェントのように振る舞っていたことです。

Bitdefenderはこの攻撃について、「欧州で私たちが記録した、この種のケースとしては初めてのもの」と説明しています。

研究者らは次のように続けています。「この攻撃が示しているのは、ハイブリッド型のアプローチが有効だということです。人間が目標を設定し、[AI]モデルが機械的な作業を担う形は、攻撃者にとって経済的にも理にかなっていると私たちは評価しています。2027年には、このようなハイブリッド攻撃が一段と増えると予想されます」

3AMのハイブリッド攻撃の展開

11月3日に公開された調査ブログは、この攻撃を3AMランサムウェアのアフィリエイトによるものと結論付けています。3AMはランサムウェア・アズ・ア・サービス(RaaS)として運営されており、Rust製の暗号化ツールは2023年2月に初めて確認されました。

研究者らは、攻撃者がどのように学校群へ最初に侵入したのかを特定できていません。記録された最初の活動は9月10日で、攻撃者はこの学校群のバックアップ基盤に保存された認証情報にアクセスし、Windows Data Protection APIで復号しました。

9月12日から13日にかけて、攻撃者はSQL Serverを親プロセスとするマシンから、他のホストへの接続を試しました。盗んだ管理者の認証情報で認証し、標的のWindows Management Instrumentation(WMI)サービスに一連のコマンドを送信しています。コマンドの出力は人間かAIモデルのどちらかが読み取り、次のコマンドを選んで、このサイクルを繰り返していました。

最初にPowerShellコマンドが使われ、41秒後に変更なしで再実行されました。その49秒後には、1か所だけ書き換えられました。さらに47秒後、PowerShellはWMIの旧来の組み込みコマンドラインインターフェースであるwmicに置き換えられました。

研究者らは、全面的な書き換えがそれ以前の小さな修正と同じ速さで行われたことから、これらのコマンドはAIエージェントが作成したことがうかがえると指摘しています。

続く9回の再試行も同様のパターンでした。次のコマンドが発行されるまでの間隔は、変更の大小にかかわらず40〜101秒でした。一方、新しい作業に移る際の間隔は数分に及びました。

Bitdefenderの研究者らは、「作業の切れ目では間隔が長く、再試行では短いという分かれ方は、人間が次の手順を決め、モデルが再試行を処理している場合の特徴と合致します」と記しています。

これに対し、再試行の連続より前のコマンドは単純で、2〜16分の間隔で送信されていました。これは、出力を読んで次の対応を考える人間のペースを示しています。

9月14日、攻撃者は侵害した環境での永続化を図りました。認証情報窃取ツールMimikatzを実行したほか、別々の経路で2つのバックドア用ドメイン管理者アカウントを作成しています。

続いて攻撃者は、Windowsのrobocopyツールで財務関連のファイル40件をコピーし、HTTP POSTでコマンド&コントロール(C2)エンドポイントに送信しました。

「転送経路としてレジストリを使うのは珍しい選択であり、ハンティングすべき有力な指標です」と研究者らは指摘しています。

9月19日、攻撃者は双方向の信頼関係を持つ3つの独立したActive Directoryドメインを結合しました。さらに約3時間のうちに、バックドアアカウントのアクセス権を学校群全体に広げています。研究者らは、この段階が人間とAIのハイブリッド手法が展開された最も明確な例だと述べています。

学校群の独立したドメインを結合する作業は機械的な要素が非常に強く、双方で正しく設定する必要があります。細部が1つ間違っているだけで、すべてが止まってしまいます。

攻撃者は信頼関係を構築したあと、一連の診断プローブを実行し、ドメイン間のセキュアチャネルを維持するサービスを再起動しました。Bitdefenderは、人間とAIのハイブリッド方式は、こうした作業に適していると指摘しています。反復的な設定作業が中心で、エラーを人間が読み取って解決策を見いだす場面があるためです。

この作業の結果、攻撃者は管理対象外のホストから50台のマシンに到達しました。

最後に攻撃者はエンドポイントでの検知と対応(EDR)ツールの削除を試み、アクセスした50台のうち37台を暗号化しました。

ハイブリッドAIランサムウェア攻撃への防御策

Bitdefenderによると、この攻撃には、バックアップ認証情報の窃取、不正なドメイン管理者、ドメイン間の信頼関係、正規の組み込みツールの悪用など、他のランサムウェア事案でも見られる典型的な手法が含まれていました。

ただし、手作業の部分は人間とAIのオペレーターで分担され、それぞれの強みが生かされていました。

研究者らは、「このアプローチは現実的です。モデルが機械的で反復的な作業を引き受けており、攻撃者がすでに持っていなかった技術や費用は何も必要としていません」とコメントしています。

また、AIモデルが関与することで、インシデント中に残る痕跡の見え方も変わると指摘しています。

Bitdefenderは、同様の手口による今後の攻撃から防御するため、防御側に次の対策を推奨しています。

  • 独立したドメインの管理者アカウントは分離して管理し、複数ドメインの特権認証情報を1か所に置かない
  • バックアップ基盤を攻撃対象と位置付け、バックアップ戦略に悪意ある利用の兆候がないか見直す
  • リモート実行と管理共有を制限する
  • インタープリターやシェルを使わないマシンでは、それらをブロックする
  • すべてのマシンにエンドポイントエージェントを導入する

翻訳元: https://www.infosecurity-magazine.com/news/3am-ransomware-hybrid-ai-uk-school/

本記事は infosecurity-magazine.com の記事を翻訳・要約したものです。