上院で、医療分野におけるAIツールの活用拡大を目指す法案の討議草案が提出されました。草案では、透明性や患者の安全性を確保し、データのプライバシー・セキュリティ関連法を順守することを前提に、業界の関係者、臨床医、政策専門家から意見を募っています。この法案は、AI技術の審査について、より予測しやすく一貫性のある枠組みを整えるとともに、医療現場でAIベースのツールを導入する際の償還の道筋を確立することを目的としています。
この法案は「Protecting Americans Through Intelligent, Ethical, and Transparent Artificial Intelligence in Health Care(PATIENT AI)Act」です。上院HELP委員会のビル・キャシディ委員長(共和党、ルイジアナ州選出、医師)が提出しました。法案は、米保健福祉省(HHS)に対し、非営利団体に委託して、医療現場でのAIベースのアプリケーションに関する責任のあり方を検討し、提言をまとめさせるよう求めています。あわせて、起こりうる問題点も洗い出すとしています。また、会計検査院長(Comptroller General)には、医療用AIアプリケーションの開発、検証、利用、展開における透明性と説明可能性を確保するための公的な提案を検証した報告書を作成するよう求めています。
法案はHHSに対し、内部業務の効率化と医療成果の向上を図るため、省内でのAI活用を拡大するよう求めています。HHSは、米国立標準技術研究所(NIST)の所長や、医療・公衆衛生分野の関係者と連携し、医療・公衆衛生分野の組織向けに、医療現場でAIベースのアプリケーションを最適に活用する方法を学ぶための研修教材を作成する必要があります。HHSの最高情報責任者(CIO)には、AIベースのアプリケーションを用いた医療研究を支えるデータセットの構築が指示されています。
食品医薬品局(FDA)の責務も盛り込まれました。対象は、統合型機器やソフトウェアベースの機器の審査、第三者による審査・認証、市販後調査、統合型およびソフトウェアベースの機器への医療機器製造物責任法の適用です。さらにFDAには、AIソフトウェアを随時審査できる継続的なプロセスの整備も義務づけられています。
医療情報技術調整官室(ONC)は、HHS傘下の各機関と協力し、各機関がAIツールを導入する際の技術支援を行う必要があります。加えて、認定医療情報技術(Certified Health Information Technology)の対象を、臨床研究技術や、FDAの規制対象機器とみなされないAIベースのアプリケーションにも広げることになります。HHS長官には、AIベースのサービスを対象とした保険適用の評価枠組みを策定するよう指示されています。さらに、AIベースのサービスや、自律的に医療を提供するAIベースのアプリケーションに対する支払い方式の開発も求められています。
キャシディ上院議員は次のように述べています。「人工知能が医療の提供方法を変えつつある今、私たちは新たなデジタル時代を生きています。医療へのAI導入は、患者、イノベーター、消費者の利益になるよう、責任を持って進めなければなりません。今回の討議草案は、規制の予測可能性を高めて患者の安全を最優先にしつつ、AIベースの技術へのアクセスを広げるための解決策を提案するものです」
翻訳元: https://www.hipaajournal.com/senate-bill-patient-ai-act/