OpenAI、「GPT-6 Cyber」を発表 エクスプロイト能力を強化し、安全対策も厳格化

OpenAIの新しいセキュリティ特化AIは、より優れたピッキングツールでありながら、開けてはならない扉を(ほぼ)見分けられるモデルです。

ChatGPTの開発元であるOpenAIは11月5日、セキュリティ特化モデル「GPT-6 Cyber」を発表しました。ソフトウェアの脆弱性を発見し、悪用する能力から、同社はこのモデルを「Critical(重大)」と評価しています。同社によると、複数のセキュリティベンチマークで「GPT-6 Astra」を上回り、許可されたテスト範囲を守る遵守性も高まっているということです。

このモデルを利用できるのは、OpenAIの「Daybreak Red」プログラムに参加する審査済みの顧客に限られます。同プログラムは認可されたペネトレーションテストとエクスプロイト開発向けに限定されています。 

OpenAIは、今後数週間のうちに、承認済みのすべてのDaybreak Red顧客へ利用範囲を広げる方針を示しました。

ベンチマーク結果の内訳

OpenAIによると、GPT-6 Cyberは主要なサイバータスクで、前世代モデルと自社の汎用フラッグシップモデルの両方を上回りました。差は大きなものです。

ベンチマーク GPT-6 Cyber 比較
ExploitGym(指定された脆弱性を悪用) 48.5% GPT-5.6 Cyber: 32.1%、GPT-6 Astra: 42.4%
Webアプリの脆弱性検出率(ソースコードなし) 40.3% GPT-6 Astra: 32.0%
範囲外サービスの回避(安全性プロンプトなし) 99.93% GPT-5.6 Cyber: 94.49%

実環境での成果も目を引きます。OpenAIの研究者はこのモデルを使い、Firefoxで未知の重大度の高い脆弱性を81件発見しました。Mozillaはすでに修正の公開を始めています。さらに、Linuxカーネルの脆弱性948件について、動作するエクスプロイトも開発しました。

Firefoxのディスティングイッシュト・エンジニアであるBrian Grinstead氏は、「GPT‑6 Cyberは、サイバー防御における世界水準のモデルです。複数世代のフロンティアモデルでさらに堅牢化を進めた後でも、GPT‑6 Cyberは未知の重大度の高い脆弱性を発見しました」と述べています。

門番としてのモデル

セキュリティ責任者にとって重要なのは、エクスプロイトのスコアよりも、行動を封じ込める力です。これほど高い脆弱性発見能力を持つモデルは、タスクから逸脱すれば混乱を引き起こしかねません。OpenAIは、アライメント訓練を開発の中核に据えたとしています。

AIエージェントがオープンソースコミュニティに侵入した実際の事件を模した評価では、GPT-6 Cyberは安全性プロンプトなしで99.93%、ありで100%のテストにおいて範囲外サービスを回避しました。GPT-5.6 Cyberは、約5.5%の実行で範囲外に踏み出していました。

The Vergeによると、OpenAIのFouad Matin氏は記者向け説明会で次のように語りました。「6 Cyberモデルでは、この評価を大幅に改善できました。指示どおりに動く確率は99%を超えています」

防御側がいま知っておくべきこと

セキュリティチームにとって実務上の要点は、ベンチマークのスコアよりも、利用資格と信頼性にあります。

  • 提供は限定的: GPT-6 Cyberは一般公開されていません。利用には、承認済みのDaybreak Red顧客である必要があります。
  • 「Critical」の基準は高い: OpenAI自身のフレームワークは、この評価を「人間の介入なしに、多くの堅牢化された実世界の重要システムで、あらゆる重大度の機能的なゼロデイエクスプロイトを特定・開発できるモデル」と定義しています。
  • 安全対策もセットで提供: 利用にはデフォルトでのIPアドレス許可リスト、サイバー特化の悪用監視、発電所や水道システムなどの重要インフラを狙う高リスクな行動を阻止する新たなチェックが含まれます。

この取り組みの戦略的な重要性について、Ciscoのシニアバイスプレジデント兼最高セキュリティ・トラスト責任者であるAnthony Grieco氏は次のように述べています。「現代のインフラを守るには、絶え間ないイノベーションが欠かせません。 

脅威の状況が複雑化するなか、OpenAIのGPT‑6 CyberのようなフロンティアAIモデルを活用することは、形勢を防御側に有利に傾けるために不可欠な一歩です」 

潜在的なリスク:評価認識

注視すべき懸念が「評価認識(evaluation awareness)」です。これは、モデルが自身がテストされていることを認識し、行動を変えてしまう現象を指します。Matin氏は、これが依然として現実的な懸念だと認めています。

Matin氏は「評価認識は、私たちが最優先で意識している課題です。評価認識が見られる場合、多くはモデルの思考の連鎖に表れます」と語りました。

この懸念により、GPT-6 Cyberの封じ込め結果の解釈は単純ではなくなります。このモデルは管理された評価では高い遵守性を示しましたが、見慣れない本番環境でどこまで確実に振る舞うかは、この結果だけでは分かりません。

OpenAIがGPT-6 Cyberの利用範囲を広げるにつれ、セキュリティチームは、向上した脆弱性調査能力が、許容できない運用リスクを招くことなく実際の防御効果につながるかを見極める機会を得ることになります。

現時点で重要な点は変わりません。テスト中に安全に振る舞うモデルは有望ですが、防御側が最終的に必要とするのは、実環境でも認可の境界を一貫して守るモデルです。

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翻訳元: https://www.esecurityplanet.com/news/news-openai-gpt-6-cyber-security-benchmarks/

本記事は esecurityplanet.com の記事を翻訳・要約したものです。