NCC Groupの最新四半期サイバー脅威インテリジェンスレポートによると、世界的なランサムウェア攻撃は2026年第2四半期に3%増加し、Q1の2,165件からQ2は2,229件に達しました。件数の増加自体は緩やかなものでしたが、同社はサプライチェーン攻撃が規模・巧妙さの両面で急速に拡大していると警告し、ランサムウェア活動全体の傾向は依然として上向きだと指摘しています。
6月単月では665件のランサムウェア攻撃が確認され、産業部門が引き続き最も標的にされた業種となり、四半期全体の攻撃件数の30%、6月単月では28%を占めました。消費者裁量財セクターと情報技術セクターが、四半期を通じて標的となったセクターの上位3位に続いてランクインしています。
地域別では北米が引き続き最も標的にされ、Q2全攻撃の44%、6月単月の41%を占めました。次いで欧州(四半期26%、6月23%)、アジアと続きます。Qilinは5四半期連続で最も活発なランサムウェアグループの座を維持し、Q2の全攻撃の14%(301件の被害者)に関与、これにThe Gentlemen(238件の被害者)、DragonForce(145件の被害者)が続きました。NCC Groupはまた、新興のRansomware-as-a-Service組織であるKryBitの台頭にも言及しており、同組織は活動開始から最初の四半期で56件の被害を主張しています。
依然として狙われやすい侵入経路、VPN
レポートの特集セクションでは、企業向けVPNとインターネットに露出したエッジデバイスが、2026年に入ってからランサムウェアエコシステムにおいて最も悪用されている侵入経路であることが強調されています。Akira、Qilin、The Gentlemenを含む複数のグループが、Fortinet、SonicWall、Citrix、Check Pointといったベンダーの製品の脆弱性を突いて認証を回避し、被害者ネットワーク内に足場を築く様子が確認されています。
NCC Groupによると、VPN製品に影響する脆弱性は、同社が今年これまでに発行した150件以上の脅威インテリジェンス・アラートの約15%を占めており、その多くが「高」または「重大」の深刻度に分類されています。同レポートはまた、6月に発見された大規模な認証情報漏洩事案「FortiBleed」にも言及しており、これは公開されているFortiGateデバイスのおよそ半数に影響を及ぼしたもので、今後数カ月にわたりさらなる悪用を助長する可能性がある展開だとしています。
ソフトウェアサプライチェーンへの攻撃が継続
ランサムウェアに関するデータに加え、NCC Groupのアナリストは、Q2にソフトウェア開発エコシステムを狙った攻撃が顕著に激化したと述べています。攻撃キャンペーンはGitHub Actions、npm、PyPI、Docker Hub、Open VSX、Visual Studio Code Marketplaceにまで及びました。金銭目的の攻撃グループTeamPCPは、こうした活動の中でも特に重大なものに関与しており、その一つが自己増殖型ワーム「Mini Shai-Hulud」です。このワームは5月にソースコードがGitHubに公開されて以降も、MiasmaやHadesと呼ばれる派生キャンペーンを生み続けています。
同レポートは、こうしたキャンペーンがソフトウェアサプライチェーンにおける「推移的信頼(transitive trust)」を悪用し、メンテナーのアカウントやCI/CDトークン、クラウド認証情報を価値の高い標的に変えていると警告しています。その影響は、当初侵害された組織の範囲をはるかに超えて波及しかねません。
「経営層レベルの課題」
NCC GroupのVP兼サイバーインテリジェンス・対応責任者であるMatt Hull氏は、サプライチェーン攻撃は依然として脅威アクターにとって、業務・財務・評判の各面で甚大な被害をもたらすための最も魅力的な経路の一つであり、企業は場当たり的な対応ではなく、継続的な監視とレジリエンスの確保が必要だと述べています。
Hull氏は「前四半期においてランサムウェアの件数に大幅な増加は見られなかったものの」、攻撃の傾向は依然として上向きであり、VPNはますます魅力的な標的になり続けていると述べました。さらに同氏は、企業はサイバーセキュリティを本来あるべき経営層レベルの課題として扱う必要があると指摘し、地政学的緊張や急速に進化するAI能力が、防御側にとってさらなる圧力となっていると付け加えています。
NCC Groupのレポートでは、The Gentlemenのようなランサムウェア組織の運営がさらに専門化していることも取り上げられています。The Gentlemenは急速に規模を拡大しているRaaSグループで、流出した内部データベースからは、体系立てられた交渉手法と、アフィリエイトに配布される専用のEDR無効化ツール一式の存在が明らかになりました。これとは別に、同レポートはコモディティ化した情報窃取マルウェアと、より高度な侵入技術との融合が進んでいる点にも言及しています。新種の亜種は、ルートキット的な隠蔽手法、ブラウザ拡張機能を利用した認証情報窃取、検知回避のためのホスト外での復号といった手口を採用しています。
レポート全文では、中国と台湾の緊張の高まり、ロシアに対するベラルーシの姿勢の変化、アイルランドが間もなく務めるEU理事会議長国就任といった地政学的な動向も取り上げられており、NCC Groupはこれらが下半期における国家関与型脅威アクターの標的選定パターンを左右し得ると分析しています。