OneTrustの最新レポート「2026 AI-Ready Governance Report」によると、回答者の74%が自社において部門単位または全社規模でのAI導入を進めていると回答しています。これには個々のチームや部門内での導入だけでなく、各事業機能全体、さらにはプロセスや業務運営の一部としての導入も含まれます。残りの回答者は導入を計画中、評価中、あるいは試験的に利用している段階であり、AIを全く使用していないと回答したのはわずか1%でした。

貴社では現在、AIガバナンスをどのように実施していますか(出典:OneTrust)
AIガバナンスの実践
これほどの導入レベルに達すると、ガバナンスは実際の運用現場で試されることになります。各部門や業務プロセス全体にわたる意思決定を支えるためには、ポリシーやレビュー、統制の仕組みが機能しなければなりません。
企業がAIライフサイクルにガバナンスを組み込む成熟度はさまざまです。設計段階からガバナンスを組み込んでいる企業もあれば、自社のアプローチを「場当たり的で断片的」あるいは「方針は定まっているが遅く手作業に頼っている」と表現する企業もあります。こうした回答は、スピード、一貫性、部門横断的な実行力に課題があることを示しています。最も成熟度の高いレベル、すなわち設計段階からイノベーションを可能にする形でガバナンスを組み込んでいると回答したのは、わずか17%にとどまりました。
ガバナンスをAIライフサイクルに結びつけ、さまざまな取り組みを確立している組織がある一方で、プログラムの一部は定義したものの、同じレベルの統合や規模には至っていない組織もあります。
AIガバナンスの取り組みの中で最も一般的なのは、リスク分類と影響評価であり、次いで従業員による利用の統制、ポリシーおよびガバナンス関連文書の整備、インシデント管理が続きます。これらの取り組みは、インベントリ管理、継続的なモニタリング、サードパーティレビュー、証跡の収集を通じて日々の業務運営とつながっています。
調査で評価されたガバナンス関連の取り組みを遂行できると自信を持つ回答者は全体の約4分の3に上りますが、最も高い自信レベルを示したのは29%~33%にとどまりました。多くの企業は有能なチームと確立された実践手法を備えていますが、AIライフサイクル全体にわたる連携の度合いにはばらつきが見られます。
OneTrustのチーフ・イノベーション・オフィサーであるブレイク・ブラノン氏は、次のように述べています。「これまでガバナンスは、システムが何をするかを事前に把握できることを前提に成り立ってきました。しかしAIはより高速に動き、その数もはるかに多く、同じリクエストであっても文脈によって有益にも有害にもなり得ます。すべての判断を人間が下していた時代には静的なルールで対応できましたが、今や判断はランタイムそのものに宿らせる必要があります。AIが行動するまさにその瞬間に判断し、実行を制御しながら、統治対象のツールそのものからは独立していなければなりません」
ガバナンスを追い越すエージェント導入
回答者の87%が、自社ではAIエージェントの利用を推奨していると回答しました。そのうち47%は、明確なガバナンス、監督、統制体制を整えた上でエージェントの利用を推奨していると答え、さらに40%は、ガバナンスや統制が今なお整備途上である中で利用を推奨していると回答しています。
一部の組織では、事業の各所でエージェントが一貫した監督のないまま使用されている実態を把握しています。一方で、エージェントがどこで、どのように使われているのかについて可視性を欠いている組織もあります。
自律型あるいはエージェント主導のワークフローは、ガバナンス、リスク、レビュー要件によって最も頻繁に減速・一時停止・複雑化しているAI関連の取り組みです。回答者の半数近くが、過去1年間にAIシステムやエージェントが未承認の行動を取ったインシデントを少なくとも1件経験したと報告しています。
インシデント対応への備えを評価する項目では、データの完全性が最上位のリスクに位置づけられています。企業が最も経験しやすく、かつ最も対処への備えが不十分なのは、データの損失、破損、誤分類です。次いで懸念されているのが、検証されていない自動化やエージェントによる行動です。
エージェントは、より広範な運用モデルそのものを試す存在となります。エージェントが行動を起こす際には、権限、監督、統制、モニタリング、証跡の各要素が連携して機能する必要があります。
依然として分断されたままの連携体制
企業は積極的にAIのガバナンスに取り組んでおり、平均で4つのガバナンス関連活動を実施し、個々の能力についても高い自信を示しています。しかし、AIライフサイクル全体にわたって連携と説明責任が明確に定義されていると回答したのは、わずか5%にとどまりました。
回答者の33%は、承認済みの選択肢やプロセスが迅速に利用できなかったために、従業員が未承認のAIツールを使用したことがあると回答しています。アクセスに時間がかかると、従業員は既定のルート以外でツールを探すようになり、結果として発見やレビューが導入後になって初めて行われるという事態を招きます。
ガバナンス要件は、各社のAI活用の推進全体に影響を及ぼしています。回答者の96%が、ガバナンス、リスク、レビュー要件によって少なくとも1つのAI関連の取り組みが減速、一時停止、あるいは複雑化したと回答しました。その影響は、データ分析、サードパーティ製ツール、エージェント主導のワークフロー、顧客体験、従業員向けコパイロットにまで及んでいます。
遅延の主な原因は、データの品質、アクセス、プライバシー、セキュリティです。その他の課題としては、サードパーティ製AIに対する可視性の不足、所有権や引き継ぎの範囲が不明確であること、レビューが手作業に頼っていたり一貫性を欠いていたりすることが挙げられます。
サードパーティ製AIの管理には、導入時の初期審査だけでなく、継続的な監督が求められます。組織は、サードパーティ製AIを利用期間を通じて特定し、評価し、監視し、記録し続ける必要があります。
増加が見込まれる予算
回答者の80%が、自部門はAI関連リスクの管理に費やす時間が12か月前と比べて増加していると回答しています。
調査で評価されたAI関連インシデントの種類を少なくとも1件経験した組織では、是正対応の中心となっているのは従業員向けトレーニングとAIリテラシーの向上であり、これに続いて正式なAIレビュー・承認プロセスの整備、モニタリングやガバナンス統制の拡充が挙げられています。
次年度の会計年度中に、回答者の98%がAIガバナンスに用いる技術への予算を増額する計画だと回答しています。
翻訳元: https://www.helpnetsecurity.com/2026/09/15/onetrust-enterprise-ai-governance-trends-report/