Dive Brief
AIを使った攻撃や、見えにくいサプライチェーンの弱点が、保険会社の業務を一段と難しくしていることが、新たな報告書で明らかになりました。
Dive Brief:
- 重大なハッキング被害に備えようとする企業が増え、サイバー保険市場は急速に拡大しています。
- 全米保険監督官協会(NAIC)は水曜日、このテーマに関する新たな報告書について声明を発表し、「米国内のサイバー保険の直接収入保険料は2020年以降でほぼ3倍に増え、サイバー保険は保険業界で最も急成長している分野の一つになった」としました。
- 報告書によると、直接収入保険料の規模で上位3社は、Chubb、Beazley、St. Paul Travelersです。
Dive Insight:
保険金の支払いデータからは、サイバー攻撃のコストが急速に膨らんでいる実態がうかがえます。背景には、AIによって、スキルの低いハッカーでも高度で広範な攻撃を実行できるようになったことがあります。
年間売上高が10億ドル以上の企業では、2025年の1件あたりの平均請求額が440万ドルでした。2024年の2倍で、2021年からは586%の増加です。NAICは、この急激な伸びの要因を「事業中断に伴う費用の増加と、データ侵害やプライバシー関連の訴訟コストの拡大」と説明しています。
平均請求額は中堅企業でも上昇しましたが、上げ幅は比較的小さくとどまりました。2025年は75万9,000ドルで、2024年の61万9,000ドルから23%増えています。一方、小規模企業の平均請求額は、2024年の21万5,000ドルから2025年には14万2,000ドルへと減少しました。
2025年、大企業では保険契約100件あたり10件のサイバー保険金請求が発生しました。2024年の15件から減っています。
NAICは報告書で、「市場の上位層では、件数が減る一方で深刻度が大幅に高まっています。これは、引受審査の精度向上やセキュリティ対策の強化によって、請求に至るインシデントが減っている可能性を示唆しています。ただ、実際に発生するインシデント、特に大規模組織で起きるものは、解決に要するコストが著しく増えています」と指摘しました。
NAICの報告書によると、最先端のAIモデル、成熟が進むサイバー犯罪のエコシステム、根強いサプライチェーンのリスク、そして活発化する国家レベルの攻撃活動が、いずれもサイバーセキュリティ環境を一段と危険にしています。
同協会は「サイバーリスクはマシンの速度で進化していますが、組織のプロセスが人間の速度を前提としているため、対策は遅れ続けています」と警告しています。
NAICは、AIがサイバー保険市場に大きな影響を与える可能性が高いとみています。「AIによって攻撃能力が一般化するペースが、防御側のパッチ適用を上回れば、特に一般的なソフトウェア構成に依存する被保険者を中心に、損害率が悪化するおそれがあります」としています。
ただし、AIが大きな問題である一方、NAICの報告書はサプライチェーンのリスクを「現在のサイクルを特徴づける最大の課題」と位置づけました。企業が自社の技術的な依存関係を把握し、監督することが難しいためです。報告書は「単一のイベントや脆弱性が、多くの契約者に同時に相関した損失を引き起こす可能性があります」と述べています。
NAICの報告書は、脅威環境の変化に保険会社がどう対応しているかを示す、サイバー保険市場の新たな取り組みにも触れています。AIGは8月、クラウドサービスの障害に企業が迅速に対処できるよう支援する仕組みを補償オプションに加えました。NAICは、クラウドプラットフォームへの依存が高まっていることから、「根底にあるリスクエクスポージャーの規模は大きい」と指摘しています。
翻訳元: https://www.cybersecuritydive.com/news/cybersecurity-insurance-market-ai-supply-chain/833841/