『オデュッセイア』の海賊版を装った詐欺、劇場公開から数時間で出現

クリストファー・ノーラン監督の映画『オデュッセイア(The Odyssey)』が劇場公開されるとほぼ同時に、海賊版を探すユーザーを狙った詐欺行為が始まっていたことが、Malwarebytesの報告で明らかになりました。

公開からわずか数時間のうちに、研究者らは海賊版サイトを模倣したクローンサイト上で、二つの異なる詐欺が動いていることを発見しました。一つは偽のブラウザ警告、もう一つは映画のダウンロードファイルを装ったWindows実行ファイルです。

「どちらの詐欺も映画そのものとは一切関係ありません。単に、話題の新作を検索しているユーザーを利用しているだけです」とMalwarebytesは述べています。

偽のブラウザ警告が広告ネットワークへ誘導

著名な海賊版トラッカーサイトを模して作られたサイト上で、研究者らは「Browser Issue Detected(ブラウザに問題を検出)」というポップアップを発見しました。このポップアップには、コンポーネントが不足しているためサイトにアクセスできないと主張する文言が表示され、大きな「Fix It Now(今すぐ修正)」ボタンと、それを閉じるための小さな選択肢が用意されていました。

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偽の「Browser Issue Detected」警告(出典:Malwarebytes)

「実際にはブラウザコンポーネントの不足など存在しませんでした。このポップアップはすべてウェブページ自体に組み込まれたもので、本物のブラウザ警告に見えるよう作り込まれていました」と研究者らは説明しています。

「Fix It Now」をクリックすると、訪問者はマルバタイジング(不正広告)ネットワークへと誘導されます。その先で何が表示されるかは、その時点で稼働している広告キャンペーン次第で、偽のブラウザ拡張機能、偽サポート窓口への電話を促すスケアウェア、あるいはさらなるマルウェアへのリダイレクトなどが含まれていました。

Malwarebytesは、複数の異なるクローンサイト上で、文言もレイアウトも同一の同じポップアップを発見しており、変更されていたのは配色のみでした。これらのサイトは本物のトレント一覧やアートワーク、映画のキャスト情報まで再現しており、正規のトレントサイトが侵害されたというより、組織的なキャンペーンであることを示唆しています。

ダウンロードされたのは動画ではなくプログラムだった

二つ目の詐欺は、映画本体をダウンロードしようとするユーザーを標的にしたものです。「The Odyssey 2026 1080p WEBRip-LAMA」という名称のファイルは、シーダー597、リーチャー520件と表示されていましたが、拡張子は.exeでした。

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「The Odyssey 2026 1080p WEBRip-LAMA.exe」のトレント一覧(出典:Malwarebytes)

Windowsはこのファイルを「アプリケーション」として認識していました。正規の映画ダウンロードファイルは.mkv、.mp4、.aviといった形式であり、これらはプログラムとして実行されるのではなく、メディアプレーヤーで開かれるものです。

このファイルの説明文には「wireless bus Business Controller」と記載されており、動画再生とは無関係で、おそらく実行ファイルの作成に使われたソフトウェアの名残とみられます。また、このファイルにはVLCメディアプレーヤーとは無関係であるにもかかわらず、VLCを連想させるオレンジ色の三角コーンのアイコンが表示されていました。

「これは典型的なソーシャルエンジニアリングの手口です。VLCは世界で最も広く使われているメディアプレーヤーの一つであり、多くの人はそのアイコンを見ると反射的に『無害な動画』だと連想してしまいます」と研究者らは指摘しています。

このファイルを実行した後に何が起きるかは、それを配布している具体的なキャンペーンによって異なり、トロイの木馬、情報窃取型マルウェア(インフォスティーラー)、追加のマルウェアをダウンロードするローダー、あるいはランサムウェアなどが含まれる可能性があります。

どちらの詐欺もソフトウェアの脆弱性は利用していない

今回の二つの詐欺はいずれも、ソフトウェアの欠陥を悪用するのではなく、偽の警告をクリックさせる、あるいは映画に見せかけた実行ファイルを実行させるといった、ユーザー自身に行動を起こさせる手口に依存していました。

Malwarebytesによると、これによりセキュリティソフトだけでこの種の詐欺を防ぐことは難しくなります。というのも、ブラウザはページ上で描画された警告と本物の警告を区別できず、アンチウイルスツールもアイコンやメタデータだけではすべての実行ファイルにフラグを立てることができないためです。

『オデュッセイア』の製作費は2億5000万ドルに上り、公開に先立って1年間にわたって前売りチケットが販売されていました。これが、詐欺行為が公開から数週間ではなくわずか数時間で出現した理由を説明しているのかもしれません。

「映画をダウンロードしようとした際に、何かのインストールやブラウザの修正、.exeファイルの実行を求められたなら、それはほぼ確実に映画ではありません。パソコンに感染しうるソフトウェアをダウンロードしていることになります」と研究者らは結論づけています

翻訳元: https://www.helpnetsecurity.com/2026/07/20/odyssey-movie-piracy-scams-malware/

ソース: helpnetsecurity.com