「DangleGeddon」:AIが忘れ去られたDNSレコードを世界規模で武器化する可能性

「ダングリングDNSテイクオーバー」とは、クラウドリソースが削除された後もDNSレコードがそのリソースを指し続けている場合に、悪意ある者がサブドメインを乗っ取ることを可能にする既知の攻撃手法です。リンクは「宙ぶらりん(dangling)」のまま、何も指さない状態で放置されます。単純なセキュリティ衛生管理の不備によるものですが、決して珍しいケースではありません。

攻撃者がそのリンクを見つけ出し(インターネットスキャンを使えば難しくありません)、自分の管理下でクラウドリソースを再構築できれば、そのサブドメインへのアクセス権を得ることができます。歴史的に見ると、この攻撃は主にサイバー犯罪者が金銭目的で利用してきました。

セキュリティ企業のSilent Pushは、「もし訓練された国家支援型の攻撃者と同じ視点でこれを見たらどうなるか」を自問しました。国家主体は金銭化よりも混乱と破壊の発生を優先し、さらに新たな武器である人工知能(AI)を手にしています。その結果生まれた調査結果がこのほど公表されました。

Silent Pushが「DangleGeddon」と呼ぶこのプロジェクトおよび調査において、AIはダングリングDNSテイクオーバーの効果を飛躍的に増幅させる存在であることが証明されました。AIはドメインおよびサブドメインの発見を大幅に拡大させました。文脈を踏まえたテイクオーバースクリプトの生成にはClaude Opus 5が使用され、12,500件のドメインを対象としました。

AIはまた、割り当てやDNS登録が存在しないリソースを除外するフィルタリングにも使用され、当初の大規模なデータセットを、悪用可能な数百件の対象に絞り込みました。このプロセスによって新たな標的が発見され、これまで人間の攻撃者にとって既知だった範囲を超えて攻撃対象領域が拡大しました。

研究者らはさらに、悪用に向けたインフラ構築を自動化することにも成功しました。研究者らは「これにより、ボタンを一つ押すだけで『Dangle Day』を引き起こせる状態になった」と記しています。要するに、と続けます。「仮説上のシナリオだったDangleGeddonは、わずか数分で極めて現実的な脅威となった」のです。

研究者らは、攻撃者がそのまま行動に移していた場合に何が可能になっていたかを検証するため、安全な範囲で一連のテストを実施しました。ドメイン所有者に対してはその行動を開示し、次のような「セキュリティ通知」を残しました。「このサブドメインには、廃止済みのクラウドストレージエンドポイントを指すダングリングDNSレコードが存在しており、サブドメイン乗っ取りに対して脆弱な状態でした。所有者が古いレコードを削除するまでの間、悪用(フィッシングやマルウェアホスティングなど)を防止する目的でのみ、セキュリティ研究者がこれを保持しています。このページではデータの収集は一切行っていません」

ある米連邦政府のドメインでは、未割り当てのAzure Blobストレージコンテナを指すダングリングレコードが見つかり、これを乗っ取ることで政府系サイトへの信頼性フィルタを回避したフィッシングページの作成が可能になりました。研究者らは「このドメインは、.govドメインに紐づく信頼性を利用することで、自動化された防御策を回避できる状態にある」と報告しています。

銀行業界では、フランス最大手の銀行であるソシエテ・ジェネラルが、あるアプリケーションを指す未割り当てのAzure Blobストレージリソースを放置していました。

製造業では、フォーチュン500入りのFordにおいて、Azure VM上でホストされている開発用アプリケーションゲートウェイを指すダングリングDNSレコードが見つかりました。開発者の認証情報(APIキーや認証ヘッダー)が窃取され再利用されることで、同社内部へのアクセスが拡大したり、マルウェアホスティングの足がかりとして悪用されたりする恐れがあります。

製薬業界では、Eli Lillyが、Appleデバイスのガイドを指すレコードを放置していました。これにより攻撃者は、特定の標的群やイベントに狙いを絞ることが可能になる恐れがあります。

今回の調査結果をもとに、Silent Pushは仮説上のDangleGeddonが引き起こす波及的影響を試算しました。

政府機関の場合、数千に及ぶシステムと数百万人の職員に影響が及び、多数の業務障害を引き起こす可能性があり、「国家安全保障への潜在的な影響は、深刻なものになり得ると言っても過言ではない」としています。

銀行業界においては、DangleGeddonが世界規模で適用された場合、Bank of America、UBS、Bank of Montrealといった多国籍企業がその余波を受け、オンラインバンキングやリアルタイム決済の機能停止、取引プラットフォームの遮断といった影響が生じるおそれがあります。

製造業では、自動車メーカーであるFordを例に取ると、ドメイン乗っ取りによって悪意あるコンテンツがホストされ、この正規の自動車メーカーのドメインを装ってフィッシングページやマルウェア、その他の悪意あるコンテンツが配信される可能性があります。その波及効果は、数千に及ぶ他の組織にまたがるサプライチェーン連携に壊滅的な結果をもたらしかねません。

大手製薬会社について、Silent Pushは次のように警告しています。「乗っ取りが波及するスピードを考えると、複数のグローバル製薬企業を巻き込む規模にまで拡大した場合、高度なR&Dが損なわれ、臨床試験が中断され、世界規模で医薬品や治療ソリューションを届けるために不可欠なサプライチェーンにも、さらに深刻な影響を及ぼすことになる。組織全体での推定損失額は、数千億ドル規模に達する可能性がある」

Silent Pushの調査結果は、AIの支援があれば仮説上のDangleGeddonは十分に実現可能であることを示唆しています。こうした作戦のプロセスとその影響は、金銭目的のサイバー犯罪者を引きつけるものではなく、むしろ地政学的に敵対する国家主体にとってこそ、大規模にコストと混乱を与えるという目的にまさに合致するものです。しかし、国家レベルのダングリングDNSテイクオーバーにAIが活用できるのであれば、個々のサイバー犯罪者がより小規模に、直接的な金銭目的で悪用することも十分に考えられます。

教訓はシンプルです。Silent Pushが示したように、あらゆる組織は自社サイトから何も「ぶら下げたまま」にしないよう努めるべきです。Danglerになってはいけません。

翻訳元: https://www.securityweek.com/danglegeddon-ai-could-weaponize-forgotten-dns-records-at-global-scale/

ソース: securityweek.com