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AIエージェントが攻撃の実務を担い、一部の環境ではハッカーが3時間足らずで特権アクセスを獲得
Microsoftによると、中国系の攻撃者がAIエージェントと、侵害したConnectWiseのアプリケーション認証情報を悪用し、2,250を超えるMicrosoft 365テナントを標的にしました。
Microsoftは今週、この攻撃者(「Storm-0940」として追跡)が、オープンソースのAIペネトレーションテストツール「ARTEX」を使ってMicrosoft 365環境への攻撃を自動化していたことを明らかにしました。標的の選定からクラウドの特権アクセス獲得まで、3時間足らずで到達したケースもあります。
今回の発表により、 ConnectWiseのセキュリティインシデントの全容が見えてきました。IT管理ベンダーのConnectWiseは、アプリケーションIDへの不正アクセスを発見し、Cloud Backup、SaaS Security、Cloud Managementの各サービスを停止していました。
ConnectWiseは当初、攻撃者を特定していませんでしたが、Microsoftは今回、少なくとも2021年から活動している中国系のスパイ集団Storm-0940の犯行だと名指ししました。
このグループは従来、パスワードスプレー攻撃やインターネットに公開されたアプリケーションの悪用といった定番の手口に頼ってきました。しかし今回は、AIに作業の大部分を任せています。
ARTEXはGo言語で書かれたオープンソースのペネトレーションテスト用フレームワークです。AIエージェントを使い、偵察や脆弱性の発見から、認証情報への攻撃、データ窃取まですべてを自動化します。Microsoftによると、Storm-0940は早ければ9月からARTEXを使い、政府機関、防衛関連企業、銀行、製造業、テクノロジー企業など、世界中の組織を狙っていました。
攻撃者は10月10日から14日にかけて、8組織の327アカウントに対し、15万1,000回を超えるサインイン試行に失敗しました。Microsoftは、このパスワードスプレー攻撃でログインに成功した形跡は確認していません。その後、攻撃者は侵害したConnectWiseのアプリケーションIDに切り替えました。
侵害されたアプリケーション認証情報を使えば、顧客がConnectWiseのサービスにすでに付与していた権限を悪用できます。対話型のユーザーログインは必要ありません。
Storm-0940はARTEXを使い、2,250を超えるMicrosoft 365テナントへの認証を試みました。試行は多い時で毎分2,900回に達しています。Microsoftはまた、Microsoft Graphを通じたAIによる加速的な活動も確認しました。偵察やアプリケーション認証情報の変更、権限の変更の試みなどです。これらにより、元の認証情報が失効した後も、攻撃者が居座り続けられた可能性があります。
試行の大半は失敗しました。それでもMicrosoftは、攻撃者が多数の組織で永続的な特権アクセスを確立することに成功したとしています。ただし、侵害された顧客の数や、データが盗まれたかどうかは明らかにしていません。ログインに成功したからといって、情報にアクセスされたとは限らないと注意を促しています。
ConnectWiseのManny Rivelo CEOは、影響を受けたアプリケーション接続は封じ込め済みで、サービスを順次復旧させていると述べました。ただ、これらの接続を遮断しても、顧客環境にすでに足場を築いた攻撃者を排除できるとは限りません。
ConnectWiseが同様の事態に見舞われるのは初めてではありません。2025年5月には、「高度な国家支援型攻撃者」にシステムへ侵入されたことを認めました。このときは、リモートアクセスソフトウェアScreenConnectを利用する少数の顧客が被害を受けています。今回の攻撃との関連をうかがわせる情報はありません。
ARTEXを使っているのもStorm-0940だけではありません。Microsoftによると、複数の地域の攻撃者が同フレームワークを使っているのを確認したといいます。ARTEXはペネトレーションテスト用に無償で公開されています。
盗まれた認証情報、パスワードスプレー、アプリケーションの悪用といった基本的な手口自体は目新しいものではありません。しかしMicrosoftは、AIによってStorm-0940がそれらをより速く実行できたとみています。最初の標的選定からクラウドの特権アクセス獲得まで、3時間足らずで進んだ攻撃もありました。®