研究者ら、AIが強化する電話詐欺エコシステムに警鐘

脅威アクターになろうとする者は、わずか数千ドルを費やして既製のAI強化型フォンファームを入手するだけで、数百億ドル規模のサイバー犯罪市場に食い込むことができると、研究者らが警告しています。

Human SecurityのSatori Threat Intelligence and Research Teamは、フォンファームキットを実際に入手し、そのハードウェアとソフトウェアをリバースエンジニアリングすることで、偽アカウント作成やアカウント乗っ取り(ATO)、ロマンス詐欺、投資詐欺などを支えるインフラの実態解明に取り組みました。

その調査結果は、7月28日に公開されたレポート「FunFoneFarm and the Off-the-Shelf Scam Economy」で詳しく報告されています。

同社の試算によれば、月額わずか$2790を支払うだけで、詐欺グループはこの巨大な地下サイバー犯罪市場から利益を得られるようになります。FBIによると、ロマンス詐欺だけで昨年の被害額は約$930mに上ったとされています。

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「FunFoneFarm」とは単一の作戦を指す名称ではなく、既製のフォンファームをいかに簡単に構築できるようになったかという新たな現実を象徴する呼び名です。

その主な構成要素は以下の通りです。

  • 主要なマーケットプレイスで公然と販売されているハードウェア。最も安価なものは、廃棄された携帯電話のマザーボードから組み立てられている
  • ハードウェアの所有を不要にするクラウドフォンサービス。ファームの運用を月額サブスクリプションへと単純化し、オペレーターが端末モデルやその他の識別情報をいつでも変更できるようにする
  • 単独のオペレーターが多数の端末をまとめて制御できるオーケストレーションソフトウェア。プロ仕様のドキュメントやカスタマーサポート付きで提供元から提供される
  • 自動化スクリプトの作成や詐欺の会話管理を行うAIレイヤー。かつて参入障壁となっていた技術力や語学力の必要性を取り除く

FunFoneFarmが可能にする低コストかつスケーラブルな詐欺運営

これら個々の構成要素が容易に「組み合わさる」ことこそが、FunFoneFarmモデルを脅威たらしめている要因だと、レポートは指摘しています。

「本レポートで説明した各レイヤーは、かつて偶発的なアクターの参入を阻んでいた障壁を一つずつ取り除いています。検索するだけで購入できるハードウェア、ドキュメントとサポート付きで提供されるオーケストレーションソフトウェア、ファームをサブスクリプションへと縮小するクラウドフォンなどがそれです」と同レポートは説明しています。

「その結果、かつては組織立った資金力のあるオペレーターの独壇場だった詐欺を、より少ない資金、より低いスキル、より短い時間で運営できるようになっています」

しかし、フォンファーム運営への参入障壁を従来よりも大きく引き下げている真の要因は、AIレイヤーにあります。

「かつては本格的なエンジニアリングスキルを要した作業(ウェブブラウザを確実に自動化すること)が、平易な言葉での指示だけで済むようになっています」とレポートは続けています。

「かつてロマンス詐欺の規模を一人の人間がやり取りできる会話数に制限していた労働力の壁は、ボットが一度に何百もの会話を維持できるようになったことで消え去りました。かつては強制労働者が詰め込まれた施設を必要としていた経済圏が、サブスクリプションとプロンプトだけで成り立つようになったのです。ペルソナも、台本も、コンテンツも、会話そのものも、すべてオンデマンドで生成できます。かつてはチームを必要としていた作業が、今ではサブスクリプションとプロンプトだけで済んでしまいます」

英国政府の統計によると、サイバーを利用した詐欺による英国経済への被害総額は年間£14bn($19bn)に上るとされ、成人の14人に1人、企業の4社に1社が被害に遭った経験があるとされています。

翻訳元: https://www.infosecurity-magazine.com/news/researchers-aienhanced-phone-fraud/

ソース: infosecurity-magazine.com